今回のJAPAN STORYでは、日本最初の外来舞台芸術「伎楽」について楽しみたいと思います。
その切っ掛けは、2022年 9月19日(月・祝) 実家の整理をしている時、何か意味深な「面」が出てきたのです。最初に見た印象は「怖そうな顔」で、その正体がわからず、気になって調べてみました。
インターネットで画像を検索すると、よく似た写真を見つけました。早稲田大学演劇博物館に所蔵されている伎楽面「金剛」です。
伎楽(ぎがく)は、日本の最初の外来芸能で、起源は中国の呉楽(くれがく・ごがく)です。西暦222年から280年の中国・呉から伝来したもので、無言のパントマイムや舞によって構成され、管楽器や打楽器の伴奏とともに、おおらかでユーモラスな歌舞喜劇です。
日本では、聖徳太子(574年~622年)の時代に伎楽が盛んになり、彼の奨励によってその地位が高まりました。聖徳太子は仏教を推進した人物であり、伎楽の宗教的要素が仏教行事と結びついたことが伎楽の普及に寄与したそうです。
後の舞楽のなかに伎楽が含まれなかったのは、「厳粛な舞ではなく、滑稽卑俗なもの」は、仏教齋会 (さいえ) で上演するのに相応しいか否かの判断になったようです。
伎楽には多くの異なる役柄があり、それぞれの役柄に応じて異なる「面」が使われ、金剛はその中でも特に力強さや威厳を象徴するキャラクターです。「金剛」という名前は、仏教における強力な守護神や仏教の戒律を守る武神である「金剛力士」と結びついており、この面も同様に、力強く厳しい表情を持っています。
今回、実家の整理中に出てきたこの面が、伎楽面「金剛」と知ることができて、歴史を紐解きながら改めて「面」を見ると、怖そうに見えていたお顔が、私には少し笑顔に見えてきました。
不思議なものです。
リフォームされる実家のお守りとして飾られるでしょう。
名前は「金ちゃん」ヨロシク!